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波長変換プロセス

ここで、和周波発生を含めた他の波長(周波数)変換プロセスについて述べる。その様子を図1に示す[1]。

             図1:波長(周波数)変換プロセス

和周波発生

和周波発生(Sum Frequency Generation:SFG)は2つの低周波数光から1つの高周波数光に変換する方法で、次式で示される。

主に長波長から短波長へ変換するときに用いられる。
例:基本波1064nmの場合
1064nm+1064nm→532nm:第2高調波発生(Second-Harmonic Generation:SHG)
1064nm+532nm→355nm:第3高調波発生(Third-Harmonic Generation:THG)
532nm+532nm→266nm:第4高調波発生(Fourth-Harmonic Generation:FHG)
1064nm+266nm→213nm:第5高調波発生(Fifth-Harmonic Generation:FIHG)

差周波発生

差周波発生(Difference Frequency Generation:DFG)は2つの周波数光から1つの周波数光に変換する方法で、次式で示される。

主に、短波長から長波長へ変換するときに用いられる。
例:1064nm-1550nm→3400nm

光パラメトリック発生

光パラメトリック発生(Optical Parametric Generation:OPG)は1つの周波数光から2つの周波数光に変換する方法で、次式で示される。

OPGはSFGの逆過程であり、ポンプ光fpはシグナル光fsとアイドラー光fiに分割される。結晶への入射角度を変えることによって、広帯域に波長を変えることができる。
例:355nm→532nm+1064nm

(1)光パラメトリック発振器

光パラメトリック発振器(Optical Parametric Oscillation:OPO)はOPGと同様に、1つの周波数光から2つの周波数光に変換する方法で、次式で示される。

OPOはOPGの構成に2つのミラーを用いて共振器を形成することで構成さ
れる。

(2)光パラメトリック増幅器

光パラメトリック増幅器((Optical Parametric Amplification:OPA)ではシグナル光をより強いポンプ光と共に入射すると、シグナル光はポンプ光からエネルギーをもらって増幅し、それと同時にアイドラー光が発生する。

Reference and Links


波長変換デバイス

レーザーの波長域を紫外から赤外まで拡大できる波長変換デバイスとして、非線形光学結晶が挙げられる。非線形光学結晶を用いて、レーザー光の波長 (周波数)を変換して得られる光波は、レーザー光と同様のコヒーレンスを有する。波長を変換するためには、結晶の複屈折性を利用した位相整合が必要にな る。ここで、和周波発生(Sum Frequency Generation:SFG)の場合の位相整合を考える。SFGは波長の異なる2つの光から全く異なる波長の光に変換する手法である。光のエネルギー保 存則から3つの波長の関係は次式で示される。

それぞれの波長の屈折率をn1、n2、n3として波数k=2πn/λを用いると、上式は光の運動量保存則から次式で表される。

これがSFGにおける位相整合条件となる。ここで、結晶の屈折率nの特性(吸収波長、分散、複屈折)が重要となる。屈折率の分散は、屈折率の波長依存性を示し、近似式はセルマイヤーの分散式として示される。入射光λ1、λ2の偏光が平行な場合をタイプI、直交する場合をタイプIIと呼ぶ。屈折率の異方性と分散及び、エネルギー保存則と運動量保存則を用いることで、位相整合条件が求まる[1]。

Reference and Links

レーザーは光増幅器と光共振器によって構成され、レーザー出力は光共振器内で光が発振することによって得られる。レーザーの発振動作は大きく分けて 連 続波発振動作 (Continuous Wave Operation:CW Operation) とパルス発振動作(Pulsed Operation) の2 つがあり、それぞれCW レーザー、パルスレーザーと呼ばれる。CWレーザーは一定の出力を連続して発振し、パルスレーザーはパルス状の出力を一定の繰り返し周波数で発振する。連 続波発振とパルス発振の様子を下図に示す。

連続波発振とパルス発振

図1:連続波発振とパルス発振